Profile

プロフィール

漆原 啓子 Keiko Urushihara

高い技術力と深みある音楽性で飛躍する本格派ヴァイオリニスト。

1981年東京藝術大学付属高校在学中に、第8回ヴィニャフスキ国際コンクールに於いて最年少18歳、日本人初の優勝と6つの副賞を受賞。その翌年、東京藝術大学入学と同時に本格的演奏活動を開始した。1986年、ハレー・ストリング・クァルテットとして民音コンクール室内楽部門で優勝並びに斎藤秀雄賞を受賞。ソリスト、室内楽奏者として第一線で活躍を続け、2016年デビューから35周年を迎えた。

これまで、国内外での演奏旅行のほか、TV出演、海外主要音楽祭、マスタークラスなどに多数出演。国内では特に木曽音楽祭、宮崎国際音楽祭等に毎年出演している。また、V.スピヴァコフ、E.ルカーチ、J.ビエロフラーヴェク、F.ライトナー、H.シフ等の指揮者やハンガリー国立響、スロヴァキア・フィル、ウィーン放送響等のオーケストラと共演し、賛辞を浴びた。日本国内の主要オーケストラとの共演のほか、全国各地でリサイタル、室内楽に出演。高い評価を得ている。

2011年デビュー30周年を記念しリリースした、自身初となる「J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ&パルティータ」(日本アコースティックレコーズ)は、レコード芸術特選盤に選ばれた。また、2014年に漆原朝子と録音した姉妹デュオCD「無伴奏ヴァイオリン・デュオ」は平成26年度文化庁芸術祭レコード部門優秀賞を受賞し、最新は、2017年にヤコブ・ロイシュナーと「モーツァルト:ヴァイオリンとピアノのための作品全集」をリリースし、レコード芸術特選盤に選ばれる。2017年9月15日に浜離宮朝日ホールで行われた同CDリリース記念リサイタルは、各方面から好評を博した。

常に第一線で活躍を続け、安定した高水準の演奏は音楽ファンのみならず、指揮者、オーケストラ・メンバー等の音楽家の間でも非常に高い信頼を得ている。

現在、国立音楽大学客員教授、桐朋学園大学特任教授として後進の指導にも力を注いでいる。

Stradivarius

250年以上も前に作られ、現代の科学の力をもってしても、今だ解明されることができない製作行程で、神秘の楽器と称される最高級の名器。

1737年の12月18日、バイオリン製作者のアントニオ・ストラディバリが、イタリア北西部のクレモナで亡くなった。音楽にあまり詳しくない人でも「ストラディバリウス」の名を耳にしたことがあるはず。これは彼の製作した楽器のラベルには「Antonius Stradivarius Cremonenfis」という書かれていたためだ。250年以上も昔に作られたバイオリンでありながら、現在も名器と歌われ著名なバイオリニストに愛されている。

バイオリンの原型が生まれたのは16世紀の初頭、イタリアにおいてだといわれている。当時はバイオリンの音色は品のないものとされ、どちらかと言えば下級の楽器と考えられていたそうだ。それがだんだんに改良が加えられ、ストラディバリの師匠ニコラ・アマーティや、ストラディバリと並び称されるジュゼッペ・グアルネリ、そしてストラディバリなどの巨匠たちが、現在のバイオリンの模範を生み出した。

中でもグアルネリはストラディバリのライバルで、彼の作成した「グアルネリウス」は18世紀末から19世紀前半に活躍した天才・パガニーニにも愛用された。そして20世紀に至るまで、幾多の名バイオリニストが愛好しているというからバイオリンは17世紀から18世紀にかけて最高のものが生まれ、以来、それを超すものは現れていないとさえ言えるのかもしれない。

ストラディバリは1644年の生まれ。亡くなったときは92歳という高齢だ。現代ならばちょっとした手術で直るような病気でも、命取りになりかねなかった時代だから、この命強さは驚嘆に値する。そして偉大な父が長生きだったおかげで、彼の息子たちはその名声の陰に隠れ、弦楽器製作者としてはほとんど名をなさずに終わった。しかし、そんな息子たちの作成した楽器にも「Antonius Stradivarius Cremonenfis」のラベルが貼られたそうだから、たとえストラディバリウスという銘があっても、真作かどうかは疑わしいものが存在するそうだ。

本当に父親のアントニオ・ストラディバリの作と言われているバイオリンはおよそ600。そして最も素晴らしい出来映えのバイオリンは、彼が50代後半から70代前半だった18世紀初頭のものだと言われている。その他、チェロやビオラも50ほど製作しているが、こちらも彼の製作した楽器が現在の模範となっており、名器と呼ばれている。音色の華麗さや、楽器そのものの姿の美しさなど、史上最高のバイオリン製作者といわれる彼だが、息子達には伝えられなかったのか、伝える気がなかったのか分からないが、その技術は今日も謎とされているという。

(ZDNet/Japanより抜粋)